ドル/円相場は、82~83円水準で方向性に乏しい展開になっている。政権交代に伴って日本銀行の緩和姿勢が強化されるとの思惑を背景としたドル買い・円売り圧力が一服する中、明確な方向性を打ち出せていない。引き続き自民党の安倍総裁は脱デフレ・円高に向けて積極的な発言を繰り返しているが、選挙結果とその後の日銀の政策対応を見極めたいとするムードが強く、やや様子見に傾いている。
12月11~12日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えているが、追加緩和姿勢の強化が想定される。年末でツイスト・オペが期限切れを迎える中、代替策の必要性を指摘する声が強く、米国債の購入を柱に検討される見通し。これは当然にドルに対してネガティブな動きであり、実際に米連邦準備制度理事会(FRB)が住宅ローン担保証券(MBS)に続いて250億ドル規模の米国債購入を決定すれば、一時的にドル安・円高圧力が強まる可能性があるため、注意が必要。ここにきてドル/円市場では円サイドの動向ばかりが注目されがちになっているが、米国も極めて強力な緩和スタンスにあることを確認しておきたい。日米の金利環境も目立った変化はなく、現状は日銀の緩和期待のみに支えられた不安定な円安(ドル高)局面にある。
16日に総選挙投開票を控えているが、各種メディアは自民党の優勢を報じており、特に日銀プレミアムを剥落させる必要性は見出せない。ただ、今後は実際に政権交代が実現するのか、政権交代実現後に日本銀行の緩和姿勢強化に向けての動きが具体化するのかを見極めるステージになる。こうした日本の金融政策環境に対する失望が膨らむまでは、ドル買い・円売り優勢の地合が継続する見通し。
今後1週間の予想レンジは、81.75~83.50円。